2023-01-01から1年間の記事一覧

マシャード・デ・アシス『ブラス・クーバスの死後の回想』感想

ブラジル文学って読んだことないなあと思い、読んでみた。 率直に申し上げると、あまり刺さらんかった。 現代の日本人30代弱者男性になぜ刺さらんか これは1881年の作品である。小説を読むときに何を期待しているのか。奇想天外な思想、日ごろ見かけない奇妙…

安田峰俊「『低度』外国人材 移民焼き畑国家、日本」感想

例によってキンドルアンリミにて。 現代の奴隷制と名高い技能実習制度で来日した外国人たちを追う。 かつて中国人が主に実習生として日本に来ていたが中国の経済発展とともにベトナム人がメインストリームとなった。日本に来た彼らベトナム人の事例を主に紹…

田渕直也『ファイナンス理論全史』感想(承前)

ブラックマンデー、1987年10月19日何が起きたのか。 その前週、米国株価は10%の下落と雲行きが怪しかった。だがこの日だけでダウ工業株20種の平均株価が22.6%も下げた。これは正規分布を前提とすると6*10の97乗とビッグバンを何回か繰り返しても起こり得な…

書け書け書け書け、ホームやぞ?

とりあえずの小説の冒頭を書き出してみた。1000字弱書いてそこからプロットを考えてみようというところ。だがこのまま成り行きまかせの場合、酔っ払いがいつもの飲み屋にいって管をまくというだけの話になるのは必定、いかに自己評価甘目な自分とてそれのみ…

田渕直也『ファイナンス理論全史』感想

改訂版 金利を見れば投資はうまくいく 敗者のゲーム[原著第8版] (日本経済新聞出版) これの前に上の2つを読んだ。 『金利を見れば』は長短の金利差ほか各種指数等のうごきや関係性をみることで景気の循環を前もって気づけますよという話。自分にはそれぞ…

ガチでガチってねえじゃねえか。

このブログの記事数がこれで100になった。6年近くが経過している。相変わらずおれは何も得ていない。人生をガチれ? 何もガチってねえじゃねえか。わしは小説が書きたかったんだ。まず半年小説にガチるぞ! どうでもいいがYouTubeのショートって昔はシークバ…

二つの株の本の比較

珍しく株の本などを読んでみた。対照的だったので比較しながら感想を述べてみる。どちらもいわゆるインフルエンサー的なひとの本。ちなみに私の金融・経済的知識は赤ちゃんレベルと思ってもらいたい。 1冊目:お金知識ゼロ! 普通の会社員でも株で1億円つくる…

岡檀『生き心地の良い町』感想

自殺率の低い町、徳島県海部町(現海陽町)の秘密に迫る。 ないことの証明 修論を自殺をテーマに書こうと思っていた著者は海部町の自殺率の低さを知り自殺予防因子が何かあるのではないかと探る。悪魔の証明に近しく、実際先行研究においては自殺予防因子に…

西沢大良『現代都市のための9か条』感想

近代建築、近代都市の欠陥を指摘する書。雑誌の連載などの集成。 新型スラムの形成 近代都市は成長を前提とし、(新型)スラムの発生を伴った。近代都市計画はスラムクリアランス(再開発)を試みるが、それは必ず別種のスラム誕生に帰結する。ある部分を「…

小川さやか「『その日暮らし』の人類学」感想

またもkindle unlimitedにて タンザニアを主な舞台に零細商人たちを観察しながらオルタナティブな資本主義のあり方を考える新書。 均質的な時間進行を基礎とし、未来のために現在を投資するという(先進諸国にみられる)資本主義的世界観に疑義を呈する。た…

ジャック・ロンドン『野生の呼び声』『白い牙』感想

いずれも深町眞理子訳、キンドルアンリミテッドにて 『野生の呼び声』1903、『白い牙』1906初出 犬の狼化/狼の犬化あるいは互いの揚棄 雑に言うと前者は犬→狼、後者は狼→犬への移行を描いている。もちろんどちらかを完全に捨て去るということではなく、犬/…

時のオカリナとムジュラの仮面

それぞれDS版をクリア 時オカは64当時もやっていたが、井戸の底が怖くてやめた記憶がある。子供のころは暗闇を相当恐れていた。 時オカは3Dアドベンチャーゲームの基本フォーマットとなった画期的な作品であることは言うまでもないが、自分にはムジュラが激…