二つの株の本の比較

珍しく株の本などを読んでみた。対照的だったので比較しながら感想を述べてみる。どちらもいわゆるインフルエンサー的なひとの本。ちなみに私の金融・経済的知識は赤ちゃんレベルと思ってもらいたい。

1冊目:お金知識ゼロ! 普通の会社員でも株で1億円つくる方法をイチから教えてください!

2冊目:

高配当株で小金持ちになる方法: 初心者のための株式投資術

例によってどっちもキンドルアンリミテッドにある。

1冊目の「1億円つくる」は出版社から出ているもので株初心者が先制に教わりながら投資をしてみるというもの、2冊目「高配当株で」は一人語りで自費出版電子書籍でそう言うのかわからないけど)である。

どちらも人が勧めるものではなく自分で考えよというのは前提としている。

「1億円つくる」は上場からそれほど時間が経っていない生きのよい小型株を数か月から1年前後もって利益をとれという。「高配当株で」は安定した大型株の株価のバイオリズムを見極めてこまめにでも稼ぐという。どちらも共通しているのは少なくとも最初のうちは1銘柄だけにしてしっかりと向き合おうという点。

比較

  1億円つくる 高配当株で
対象 小型株 大型株
タイミング 右肩上がりの上昇トレンド 反転する頃合い
保持期間 数か月から年単位も(2~3倍になってから) 1日から半期(細かくとも利確)
基本戦略 ファンダメンタルズ テクニカル

 

というようなかんじでだいたい逆なことを言っているが、それぞれ留意事項も示されていて、それなりにどちらも正しいように思える。

「1億円つくる」は

  • 上場5年以内
  • 時価総額300億下
  • 1か月移動平均線右肩あがり
  • 創業社長
  • 経営者(層)が大株主(経営者と株主利害の一致)
  • 新入社員の学歴
  • 社員平均年齢30歳代以下

このあたりを推奨事項として必ずしもすべてを満たす必要がないが複数銘柄を検討する際の基準とする。競馬で言えばダート単距離ではひとまず前に出られる馬を買えというかんじだろうか。

「高配当株で」は

  • 大企業、東証プライム上場
  • 空売りができる銘柄
  • 配当利回りが最低でも3パーセント
  • 出来高最低でも100万株
  • PERよりPBR重視
  • 直近の平均値を下回ったところから買い始め、下がれば積極的なナンピン買い

いわく小型株は仕手の影響を受けることもあり不安定上場直後が最高値を付けてそれを上回れないことも多い。一方で大型株は安定している。配当や優待が優れている銘柄だと利確期日で株価の回復が見込めることが強みである。こちらは東京などフェアなコースの中距離芝で安定している馬を複勝買いといった感じか。

結局のところ

資金力や本人の性格によってどちらが正解ということもないだろうが、細かいが確実性の高い利確を積み重ねるというのは一定の資金力があったときが有効と思える。資金力が低いときは(無理ない範囲で)一撃をねらったほうが良い気がする。

「高配当株で」のほうはまとめの章にいたると急に波動が云々言い始めてびびった。あっとなった。編集者がついてれば(関係性にもよるだろうが)もう少しなんとかさせるよなと思った。ここに至ってそれまでの話の説得力が消えうせた。その前から定めた規則に従えといったそばから場合によっては柔軟になどと言ってやや怪しいところもあったがまだ許していた。また奥付に著者のサイトが載っていたが、推奨銘柄情報を売っていた。そういう情報は買わないようにしたと言っていたのに…ギャグでやってるのかな。

もう少し古典っぽいものも読んでみよう。

たぶんそれでようやっと金融知識幼稚園レベルになれる気がする。