会社にて用字用語辞典を手渡され、暇な折々読んでおります。
まあ新聞記者でもないので全面的に従う必要はござらんのだけど、結構知らんことがあって面白いﾇﾎﾎ
そん中で、空疎な美文調と未熟な直訳調を避けよという項がある。前半はよく聞きますが、未熟な直訳調というコロケーションは新鮮に感じた。この表現は別に価値判断をしているわけではなく、単に熟していない＝人口に広く膾炙していないということだろう。一見貶めているようで立ち止まれば実はスーパーフラットみたいな。最初引っかかったが意外と好きな表現。
他にもいろいろあるけど、差別語の言い換えですね。差別の言い換えは結局のところ問題の先送りではないかという部分も感じる派なんやけど、今回は置いておいて。
差別語は基本的に一音節だったりして発語しやすいものが多い。一方言い換え語は基本的に説明的になるため長く、実地で発音したりすることが面倒だ。スーパーフラットな段には達しておらずノーマリーフラットみたいなね。跛、唖、盲とかを～に障害のある方とかいったり、あと共同的にはバーテンとか沖仲士もだめらしいよ。ホッファーのお陰か沖仲士ってなんか実務的な労働者然としてかっこいいポジイメージが自分的にはあった。バーテンもダーを取るだけで差別的なんか？おおーん？
実地で用いる簡潔な語が背後にある差別的意識を堆積させて、差別の歴史的沈殿物としてその実情を表白するというのはたしかにそうだろう。またその特定の語彙を封じることで（上記の跛とかもデフォでは変換の上位には出てこない）概念自体が忘却される場合もあるだろう。部落教育が逆に部落差別を呼ぶ的な。言葉あるいはメタファーが世界認識を形式づけることは確かである。とはいえその背面にある差別的意識が撲滅されなければ別種の差別的語彙が生じる蓋然性は高い（故にさっき問題の先送りと書いた）。
だってさ結局社会的地位が低いと思われる人々、事柄に対して使っていた古い言葉は全部差別語といっているように思える。差別語とは古い言葉といってもう過言じゃない感じ。一定間隔で語を更新すればいいんですか？はい、これは初出から70年経過したので変更しましょう。みたいな。
日本語以外ではどうなんでしょね。ﾎﾟﾘｺﾚ、ﾎﾟﾘｺﾚ、ﾊﾟﾘｺﾚ、ﾅﾆｺﾚ、ﾎﾞﾝｺﾞﾚってイメージが強いですが、アメリカとかは。ｻｻｸﾚじゃなくてポリコレはアファーマティブアクション的姿勢が背景にあると思うけど、差別語のいいかえってなんか臭物蓋的発想でなんかなと思うわけさね。まあやな思いをする人々がいるのなら配慮すべきことは理解可能だが。例えばよく言うニガ―は内側同士で言えば親愛表現というような。NHKのバリバラとかそんなノリかな。でもこれは当事者のみができることだけどね。
ｼﾞｬｯﾎﾟﾈｰｾﾞって結構ナチュラルボーンレイシストなとこあるじゃあないですか。姐さん。結構みんな外人外人言ったり、排他的だし、かつそれに無自覚的で。ガイジンもコクを落としたから差別になるですか？おおーん？と言われそうだが、そもそも外国人ということばも必要もないのに使わない方がいいと思うのですよ。ある話題において日本国籍を有していないことに言及する必要がある場合のみ使えばよい。例えば日本語が問題になっているのならば、非日本語話者といったりすればよい。
必要があるときに必要な概念を導入し、それに対応する語を用いるそれでいいんじゃあないですか。父さん。駅のバリアフリー化の話をするときに足が不自由な人といえばよく、そうでない場合は人間といえばよい。それが一番美しい。そんな君が一番美しい。
美しいじゃなくて「かわいい」ということばもありますねん。これを問題視する人は結構少ない。これは基本的にはポジティブに使いますからね。でもこれって基本的には見下し表現ですよね。他者をコントロール可能なものと前提してから評価している。女子供（これも差別語認定だろうな）や小動物に対して用いるが、近年は平気でジジババにも使う。おれがもっとジジイになってかわいいとか言われたら、杖で撲殺するからな。撲殺ジジイだよ。かわいいってのは掌握可能な範疇で鑑賞に堪えるということなんだよな。岡本太郎的ないやったらしいの真逆だよ。おれは野蛮で制御不能な糞ジジイになってやるからな。覚えていろこのｽﾀﾞｺ。
繰り返しにはなるがこの方が書いているように（用字用語集の不思議｜新保信長｜note）第三者が共同なり朝日なりに無条件に従うのは怠慢である。本来的には受信者がその文章を如何に読み取るかということを誠実に考える必要がある。書いてあるから書いてあるのだというトートロジー的無価値な言動をするのは受信者へだけでなく自分自身への、地球への、銀河系への冒涜でもあるｿﾞﾖ。心せよ。小童ども。
どこまで校正するのさ？とかこれってもはや校閲？みたいなことや美人って結局平均顔、みんなちがってみんなブスとか、更に町田康とか斎藤緑雨の話をしようかと思ったけどブログは一日一時間という名人との約束を守ってまたこんど。
