イェスパー・ユール『ハーフリアル』を読む(Chap.5)

Chapter5 ルールとフィクション

本章ではゲームのルール的側面とフィクション的側面がいかにあり、また機能するかについて考察している。

カイヨワのことばを引くと両側面とも現実世界から当該ゲームの空間を分離させるという機能面で(手法は異なれど)等しい効果がある。

ルール面が切り取るものをゲーム空間、フィクション面が切り取る面を虚構世界とすると両者のずれ、歪みが問題を生じさせたり、ユーモラスな効果を生じさせたりする。

代表的なのは見えない壁問題。

空間的な要素以外でこのルール面とフィクション面の関係性が生じさせる問題としてはフィクション的設定をいかにプレイ可能なゲームとして実装させるかという点がある。

例えば『GTAⅢ』では車のドアを空け、運転者を追い出し、シートに座りドアを閉めるまでがワンキーで済まされる。あるいは『パワースマッシュ』においてリアルテニスのサーブの動作を適切なタイミングでパッドのボタンを押し離すという何の相関もない動作へと変換して実装している。

このように両者のずれは通常しばしば生じるが、BF1942のように実在の島をマップに反映するような場合はルールとフィクションがその点においては一致しているといえる。

ルール―フィクション間の非整合性については慣れていないプレイヤーにとっては問題になることがある。フィクションを手掛かりにルールを理解することが多いため。

逆になれたものにとっては特段気にされない。

ルールとフィクションの相互作用がビデオゲームをハーフリアルなものにしている。

 

※解釈についてメタ/ベタレベルを如何に使い分けるか問題について映画などの例を挙げながら行っている。またモノポリー、アンチモノポリーそして先行ゲームのLandlord's Game の話が興味深そう。